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譜面と図面
アマチュア・ロックバンドの多くは、譜面が描けない、読めない人が多い。

仲間内で気心が知れた同士ならでは、お互いが出す音を相互に理解し「あ・うん」の呼吸で音楽を作り上げる。
欠点は、練習に膨大な時間を要することと、楽譜を基に音楽を作り上げるクラシックやジャズのプロミュージシャンとはうまくコミュニケーションしにくい点。

つまり、短時間で演奏を創り上げたり、編曲が複雑で高度なサウンドは作りづらいということである。

僕も子供の頃ピアノやヴァイオリンを習ったわけではなかったので、独学で譜面の勉強をし、作曲や編曲の仕事をするために苦労した記憶がある。


軽微なリフォームには細かい図面は必要ないので、気心の知れたロックバンド的なリフォーム会社様が割りと多く、詳細な図面を描く部署を持っておられないケースも多い。
だから扱う案件が大型になると、当然音楽と同じように詳細な図面が必要になってくるので、外部の設計士と提携して図面を起こして工事を行う。

詳細な図面もなしに工事すると、多くの行き違いが起こるし工期も掛かるし、設計・施工の履歴も残せないから、お客様にも施工会社にもメリットは何もない。


第一、音楽は空気振動だから「間違えた」で済まされるが、当然住宅リフォームでは失敗は許されないし、音楽はコンピューターで一人でも作れるが、建築は多くの職人さんが携わるのでそうはいかない。


譜面と図面、音楽と建築。


いずれもクリエーターの仕事は、頭の中の発想を共通言語化・可視化し、複数の人の手を借りて効率よく創り上げることだ。

設計を作編曲と例えれば、職人さんはプレイヤー、監督はディレクター・指揮者、図面は譜面。
プロセスは何も変わらない。


同じ譜面でも演奏者や指揮者によって演奏が違うように、技術力と現場の一体感こそが、感動を呼ぶ出来栄えを生み出せるかどうか。
だからこそ、施工監理のディレクション力やプロデュース力が重要なのだ。
by Takumi-Yamamoto | 2008-08-11 11:52
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