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拡大から縮小へ
成長期は拡大、成熟期はむしろ縮小しながら適正サイズへ、という世の中の流れがありますが、住宅において最近弊社でも少しずつ増えてきました。


例えば高齢になったご夫婦が、住まいのリフォームに際して床面積を減らすことを増築の逆の意味で「減築」と言います。

成長期にある子供たちと一緒に暮らしていた時代には部屋数が必要でしたが、子供たちが独立してご夫婦2人で暮らすようになると部屋数が余ってきます。そのために部屋数を減らす改築が注目されるようになっています。

減築することで、「住宅の総重量が減ることによる耐震性能の向上」「通風性・通光性の向上」「効率的な冷暖房による省エネ」などが可能になるといわれています。高齢者にとっては各部屋の掃除だけでも重労働ですし、使わない部屋をそのままにしておくとホコリが溜まって痛んでしまいます。核家族の高齢化にともなって「減築」という、環境負荷やコストを抑えた新たな改築手法が今後広がってくるかもしれません。



ドイツ・ライネフェルデ市は「都市再生は自治体政策の中心である」という当時の市長の強い信念のもとに住民と力を合わせ、団地再生を積極的に推進しました。古い画一的な集合住宅を壊して建て直すのではなく「減築再生デザイン」で蘇らせる手法は「ライネフェルデ方式」と呼ばれて高い評価を受け、2000年にはハノーバー万博 エキスポ2000大賞、2003年にはドイツ都市計画賞、そして今年はEUヨーロッパ都市計画賞などを受賞しています。


環境負荷や廃棄物発生を極力抑え、固定資産税も軽減できる「減築」という考え方。

五階建ての団地を三階建てにしたり、戸建ての二階屋を平屋にするような「減築」という発想が、拡大成長社会から縮小成熟社会への転換にはもっと必要かもしれませんね。
by Takumi-Yamamoto | 2008-04-18 18:53
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